原文:
The Independent Gaming Source: The PIXEL Interview

デリック・ユー 2005年4月7日

昨年、洞窟物語と呼ばれる日本のフリーウェアゲームがインターネットを席巻した。洞窟物語はメトロイドや悪魔城ドラキュラを代表とする、昔ながらの2Dアクションゲームだ。

入念に調整されたバランスや素晴らしいグラフィックとサウンドは、様々なフリーウェアのゲームや商用ゲームと比べても全く引けを取ることは無かった。

英語化されることで海外にも広まり、瞬く間に個人制作ゲームの中ではトップクラスの地位を確立した。

ゲーム部分だけでなく演出も素晴らしかった。ゲームの筋書き(ロボット兵士と力を欲する科学者によるミミガーと呼ばれる兎のような生き物に関する、悲しくも甘い物語。)は、ゲーム自体を古典的なゲームから、より一層高いレベルに持ち上げている。

ゲームはチュートリアルや情報無しに始まってしまうが、すぐに神秘的な謎を解く喜びにあなたを引き込んでいく。

勇敢で熱心なロボット「カーリーブレイス」、ミミガーの技術者である「伊藤」、愛らしい子分「バルログ」など、全てのキャラクターが愛らしく描かれている。

洞窟物語の一夜の成功により開発者である「Pixel」に興味が沸くのは当然の結果だ。

制作にどれぐらいかかったか? ゲーム業界で働いているのか? ってゆーかバルログって何? トースター?

さて、これらの疑問で眠れなかった夜もこれまでだ。深遠な喜びをもって、Pixelとのインタビューを提示する。

インタビューは、自分やAGTPと共に働いていたシーズーとの間で交換された多くのメールの結果だ。

彼の仕事無しではインタビューを翻訳することはできなかっただろう。とても感謝している。

また、Insert Creditフォーラムメンバーと同様に、インタビューに必要な質問の内容の作成に手を貸してくれたTIGSource読者達にも、ありがとう。

最後に、素晴らしいゲームを作るだけでなく、インタビューにまで答えてくれたPixelへ。ありがとう。

そして、あとは苦もなく…

背景

—普段どのような一日を過ごしているのですか?

Pixel「洞窟物語を作り始めたのは学生のころでしたが、今はサラリーマンです。このゲームが完成するまでに僕の生活は変わりました。」

Pixel「会社へは自転車で通っています。仕事はソフト開発ですがゲームとは関係ありません。家では家事と子供の世話をしています。個人的なソフト開発は、主に夜中にやっています。」

洞窟物語

—洞窟物語の開発は、どのぐらいかかりましたか?

Pixel「作ろうかなぁ。と思ったのは5年前です。洞窟物語は慌てずのんびり作りました。洞窟物語を作りながら他の小さなゲームも作りました。」

—ゲームの構想をどれぐらい練ってから製作に取りかかったのですか? また、完成したものと初期の構想はどれぐらい似てますか?

Pixel「作る前に、テーマ曲(大農園の曲)を作り、それ以外はほとんど何も決定しませんでした。僕は先に何か決めても、その通り作ることはできないからです。」

Pixel「ほとんどのことを行き当たりばったりで決めました。友達の応援もあって、僕が予想していたものより、規模が大きく、完成度の高いものになりました。」

—このようなゲームを作る気にさせたのは、何でしたか? ただ、面白いゲームを作ってプレーヤーを楽しませることでしたか? それとも…?

Pixel「小さい頃にTVゲームをやって、自分も作りたいと思いました。いくらかの既存のTVゲームの影響を受けています。プレイヤーも多分それに気づきます。」

—洞窟物語では舞台にした世界のことが少ししか出てきません。ゲーム中に出ていない設定などはどれぐらいあるのでしょうか? また、それらを今後出すつもりは?

Pixel「ゲームで表現されている以外のことは存在しません。なぜなら僕にはそれを構成する技術がないからです。洞窟物語の世界の詳細はプレイヤーの想像に任せます。」

—洞窟物語に登場するキャラはとても印象的です。中には、実際に存在している人を元にしたのもあるでしょうか?

Pixel「ありません。」

—キャラといえば、バルログはいったい何なんですか? プー・ブラックと似ていますが、やはりバルログとの関係は?

Pixel「プレイヤーの想像に任せます。」

—ゲーム関連の雑誌など、日本のゲーマーメディアでの洞窟物語の報道は、どれぐらいでしたか?

Pixel「いろいろな雑誌に掲載され、今後もされると思いますが、洞窟物語だけを紹介するページはありません。沢山のフリーソフトを紹介するページの中に紛れ込んでいます。」

—このゲームの成功に驚きましたか?

Pixel「完成の喜びのために長らく頑張ってきましたが、完成した時期は忙しくて喜びよりも安心の方が大きかったです。『こんな面倒なもの、もう二度と作らない』と思ったぐらい…」

—洞窟物語の開発で苦労した所などは?

Pixel「面倒くさい作業の連続でした。展開を考えるのは楽しいですが、つじつまを合わせるのは大変でした。」

—このゲームを作る上で何か学んだことは?

Pixel「制作を応援してくれる匿名のプログラマから、いくらか知識を頂きました。僕は調べものをするのが苦手なのでとても助かりました。」

—何か、こうすれば良かったな、というようなところは?

Pixel「今回は無事完成したので満足しています。しかし、またゲームを作るのだとしたら、マップエディターや専用データ管理ツールはもっとまじめに作ろうと思いました。(前回はいい加減に作った所為で苦労した)」

ゲーム

—あなたはゲーム業界で働いた経験が? また、ゲーム業界についてどう思ってますか?

Pixel「ゲーム業界で働いたことはありません。現在のゲーム業界はあまり知りませんが、昔では考えられない凄いゲームが作られているようです。時間に余裕があるならじっくりやってみたいす。」

—洞窟物語を出して以来、ゲーム開発へのオファーがあったりしませんでしたか? また、それに答えるでしょうか?

Pixel「洞窟物語を家庭用ゲーム機で出して欲しいという意見はあるのですが、僕にはどうしていいのか良くわかりません。商用となると自分の好きなように作れないのではないだろうか…」

—あなたは一人で作業するのが好きですか? もし機会があるなら他の人と協力しますか?

Pixel「友達と作ったことがあります。とても楽しい。しかし、集団で計画を立ててその通りに作るのは融通がきかないし面倒で辛いことが多そうです。それはプロ(仕事としてゲームを作る人)のやることで、個人がやるメリットは少ないと思います。」

—あなたは良くゲームで遊ぶほうですか?

Pixel「むかしは人一倍やったと思います。自分で作るようになってからは、ゲームをすることが極端に減りました。最近はゲームをする時間がありません。」

—何かよくプレイするゲームは?

Pixel「洞窟物語をプレイすると僕の好きなゲームが分かると思います。」

芸術と音楽

—あなたの絵は、昔ながらのドット絵で非常に素晴らしいです。絵を描く上で影響を受けた人は?

Pixel「昔からドット絵が好きです。TVゲームで見てきたさまざまなドット絵が僕に影響を及ぼしています。]

—洞窟物語の音楽は、どうやって作曲しましたか? 音楽を作る上で影響を受けたものは?

Pixel「僕は音楽にそれほど詳しくありません。勉強は苦手です。でも、音符を並べて、それを聞いて、良いか悪いかを考えます。悪ければ消します、良ければ採用します。それの繰り返しで作りました。」

未来

—今後、ゲーム制作についての予定などは?

Pixel「ありません。」

—何かゲーム以外のことを?

Pixel「作曲ツールを作っています。」

—洞窟物語の続編を作る予定は?

Pixel「いいえ。予定ありません。」

—今後作るゲームもフリーソフトのままですか?

Pixel「シェアにするメリットがフリーにするメリットを超えたらシェアにします。今の所シェアにするメリットはあまりない…」

考えを閉じます

—好きな食べ物は?(これは絶対必要)

Pixel「さまざまな種類があるオニギリの中で、炊き立てのご飯に塩をかけて大きな海苔でつつんだだけのものがとても美味しいと思います。」

—最後に、ファンに伝えたいことはありますか?

Pixel「洞窟物語をプレイしてくれてありがとう。今後、また僕がゲームを作ることがあったなら、是非プレイしてあげてください。」

—どうもありがとうございました。

エピローグ

私の質問をシーズーに送ったとき、彼に写真をお願いできないか尋ねてみるように頼んだ。読者が興味を示しているのを計算した上でだ。

私の印象では、あまり表に顔を出したりしないような人であり、この要求を謹んで辞退するだろうと踏んだ。そしてその予感は正しかった。

Pixel「写真は公開できませんが、特徴を書き記そうと思います。」

Pixel「身長166cm、体重56Kg、足は短い。猫背。撫で肩。お洒落はほとんどしない。冬はタイツをはいています。最近になって初めてメガネを買いました。」

Pixel「あと、僕が過去に描いた自画像(ドット絵)を添付します。役に立ちそうでしたら使ってください。」

そしてここに彼の送ってきた絵が。タイトルは『26歳プログラマの通勤は自転車立ち漕ぎ10分』

以上がインタビュー記事の全て。解答原文を送ってくれたShih Tzu、それを快く許可してくれたPixelとDerek Yu。本当にどうもありがとう。

2005/06/26 – 涼崎聡